第75章

「想定外だったか? お前が心の底から大事にしてきた女は、胸の奥に血塗れの仇を抱えてる。――当ててみろ。六条家を完全に叩き潰せる証拠を手にしたとき、あの女は最初に誰を刺す?」

六条修介は黙ったまま、高い背をデッキの灯りに晒していた。足元に落ちる影は、重く沈んでいる。

マウスを握る私の指先が、力みすぎて青白くなる。画面から目が離せない。心臓が胸郭を内側から殴りつけ、肋骨を砕きそうな勢いで暴れていた。

長い沈黙ののち、六条修介がようやく口を開く。

声は低く、静か。なのに、真っ赤に焼けた鏝みたいに、私の胸の奥を容赦なく灼いた。

「……それでも、俺が背負うべき借りだ」

鈴木征夫の笑い声が、...

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