第76章

そのドレスを見つめた瞬間、意識がふっと遠のいた。

美しすぎる。しかも、あまりにも仰々しい。まるで「これは俺のものだ」と宣言するための戦闘服みたいだった。

そして六条修介は、その灼けるような眼差しで私にそれを着ろと誘ってくる。自分の隣に立て、と。

魅力的だ。けれど私は反射的に、ほんの少しだけでも自分の主導権を残しておきたかった。

「すごく好きよ」

一歩近づき、指先でひんやりとなめらかなベルベットをそっと撫でる。顔を上げ、彼を見た。

「でも、パーティーのドレスは……自分で選びたいの」

わがままを言っているわけじゃない。癖みたいなものだ。

弁護士として、私の「戦闘服」は全部、自分の...

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