第79章

部屋の隅。目立たない監視カメラが、猩々たる赤でちかちかと点滅し、記録という名の微光を瞬かせていた。

落合睦生は、私の手首を押さえつけていた手をようやく放すと、慌てる素振りひとつ見せず、几帳面に袖口を整えた。まるで、さっきまで触れていたのが汚物だったと言わんばかりに。

一周、室内を見回し――満足げに、演出家めいた笑みを浮かべる。

「松崎弁護士」

私へ向き直る声は、毒を溶かした蜜のように甘ったるい。

「そんな目で見るなよ。君のために、これだけ大きな舞台を用意してやったんだ。感謝すべきだろう?」

心臓が、じわじわと底へ沈んでいく。頭の中に、最悪の想像が形を取った。

「存分に味わえ」

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