第96章

落合睦生は私を見据えた。さっきまでの陰湿な眼差しが、底の読めない闇へと沈んでいく。

しばらくして、彼はふっと喉の奥で笑った。湿った地下室に、その笑い声だけがやけに耳障りに響く。

「松崎莉緒……お前、ほんと賢いな」

身を屈めた彼の吐息が耳朶を撫でる。温かいはずなのに、背筋が凍りついた。

「賢すぎてさ。殺すのがもったいないって思うくらいだ」

次の瞬間、顎を乱暴に掴まれた。指が食い込み、無理やり顔を上げさせられる。逃げ場のない距離で、視線を合わせろと命じられているみたいに。

「お前の言う通り、六条修介はしぶとい。だが、それが何だ? 今のあいつはドブの鼠だ。盤を動かしてるのは俺だろ」

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