第10章

林田朝香は枕をひっつかむと、城崎漣と綾瀬亜美に向かって力任せに投げつけ、半狂乱になって叫んだ。

「二人とも、今すぐ出て行け!」

城崎漣は綾瀬亜美の腕を引いて病室を出て行った。重苦しい音を立てて、ドアが閉まる。

林田朝香はその場にへたり込み、顔を覆って震えながら泣き崩れた。

私はベッドから這い出るようにして体を起こし、彼女のそばにしゃがみ込んだ。

「朝香、泣かないで」

彼女が顔を上げる。その目はウサギのように真っ赤だった。

「大丈夫? どこか具合悪くない?」

私はわざと心を痛めているようなふりをして、甘えるように言った。

「もう苦しくてたまらないわ。外へ出て、買い...

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