第7章

半月あまりが過ぎ、私はようやくベッドから降りて歩けるようになった。

林田朝香は、甲斐甲斐しく私の世話を焼いてくれている。

食事を口に運んでくれ、体を拭いてくれ、トイレにまでついてこようとするのだ。

「朝香、自分でできるから」

私は差し出されたスプーンを押し返した。

「何が『できる』よ!」

彼女は私を睨みつけた。

「あんた、どれだけ意識不明だったと思ってんの? もう少しで死ぬところだったんだからね!」

胸が締め付けられる思いだったが、私は努めて笑顔を見せた。

「はいはい、わかった。でも、朝香こそちゃんと自分の体を大事にしてよ」

彼女が昼食を買いに出た隙を見て、...

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