第2章

私と渡井傳治はペアを組んで七年、公認の「氷上の双子星」だった。鈴川メメが代表チームに舞い降りてくるまでは。

当初、渡井傳治はトリプルジャンプすらまともに着氷できないこの「天才少女」を露骨に嫌っていた。

「チームはお荷物を押し付けやがって。足手まとい以外に何ができるんだ」

だが次第に、彼の口から出る「あの実習生」という呼び名は「メメ」へと変わっていった。

彼は気づいていないようだったが、鈴川メメの不器用なミスを話題にする時、その眼差しはもはや嫌悪ではなく、どうしようもないといった甘やかしの色を帯びていた。

私はそれをはっきりと見ていたが、何も言わなかった。七年かけて培った生死を共にする絆は、堅牢で揺るがないと無邪気に信じていたからだ。

今この瞬間、ロッカールームで私は鈴川メメが三分前に投稿したSNSを見ていた。

写真は理学療法室の様子で、こんな文章が添えられている。

『鬼キャプテンは口は悪いけど心は優しいの。直接お薬を飲ませてくれた。羨ましい?』

写真の中の渡井傳治は、まるで稀代の宝物を扱うかのように、慎重に鈴川メメへ薬を飲ませていた。私の目を刺したのは、彼の薬指にあるシンプルな指輪だ。私たちが初優勝した時に買ったペアリングだった。

渡井傳治は即座にコメントを返していた。

『これ以上不注意が続くなら、俺が毎回監視して飲ませるぞ!』

画面越しでも、その艶めかしい空気感が溢れ出してくるようだった。

心臓を鷲掴みにされたような痛みが走る。本当は、とっくに諦めるべきだったのだ。

半月前の祝勝会で、鈴川メメが「パニック発作」と言った瞬間、渡井傳治は記念撮影の準備をしていた私を人前で突き飛ばし、彼女の元へ走った。

私が止めようとすると、彼は不機嫌さを隠そうともしなかった。

「林原友衣、お前いくつだ? 鈴川メメは成人したばかりだぞ。小娘相手に嫉妬して張り合うなんて、惨めだと思わないか?」

彼の目には、二十四歳の私はピークを過ぎただけでなく、些細なことに拘る醜い人間に映っていたのだ。

彼は忘れている。私が鈴川メメと同じ歳だった頃、彼に合わせて氷の上で傷だらけになりながら、一度も痛いと言わなかったことを。

渡井傳治はさらに知らない。ここ数年、世間は彼が私をリードしていると思っていたが、実際は私が強靭な体幹で彼のスロージャンプのズレを空中で修正し、彼の硬いスケーティングを補っていたことを。

彼が鈴川メメを「守るべき天才」だと思うなら、彼に育てさせればいい。

私の瞳の奥から最後の温もりが消え、絶対的な理性だけが残った。

私は総監督にLINEを送った。

『監督、ペア解消を申請します』

送信後、即座に送られてきた驚きのスタンプや通話リクエストを無視し、画面を切り替えて「Coach Erin」という名前をタップした。

それはアメリカフィギュアスケート界の名将であり、私が「技術的な穴埋め」をしていることを見抜き、以前から密かにオファーをくれていた唯一の人物だ。

指先が画面の上で一瞬止まり、そして迷いなく英文を打ち込んだ。

『I accept. I want to transfer to the US team.(お受けします。アメリカチームへの移籍を希望します)』

渡井傳治が鈴川メメのために何度も一線を越えるたび、私は疲れ果てていった。彼のリンクに他人が入り込んだのなら、私はもっと広い世界を探しに行くだけだ。

七年前、私は女子シングルの最も有望な新星だった。渡井傳治のために筋肉の記憶を無理やり書き換え、ペアに転向し、スロージャンプのたびに巨大な衝撃に耐えてきた。古傷が痛む無数の夜も、私は一度も弱音を吐かなかった。

だが今、苦痛に耐える支えとなっていた信仰は崩れ去った。

「友衣、決めたの?」

背後からマネージャーの山田さんの声がした。彼女の眼差しには同情もあったが、それ以上にようやく解放されたという快い響きがあった。

私はスマホをしまい、振り返って静かに頷いた。

山田さんは手にしたスマホを振って見せた。画面には電子チケットが表示されており、目的地には見慣れた英単語が並んでいる。Los Angeles。

「チケットは取ったわ。明日の夜の便、ロスへの直行便よ」

山田さんが歩み寄り、私の肩を叩いた。

「エリンコーチ側で、空港への出迎えも手配済みだって」

もう私を阻むものは何もない。

ドアを開けた瞬間、外の空気がこれほど澄んでいると感じたのは初めてだった。私はついに渡井傳治の影から抜け出し、私自身の、完全な世界をこの目で確かめに行くのだ。

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