第6章
渡井伝治はそのコメントを見た瞬間、鈴川メメの手からスマホを奪い取り、林原友衣のアイコンをタップした。
DMの画面が開いた瞬間、全身の血液が凝固するのを感じた。
丸三年分のチャット履歴。鈴川メメはずっと林原友衣にメッセージを送り続けていたのだ――彼が贈った特注の練習用具、二人のツーショット、深夜の夜食……そのすべてに、「伝治さんは本当に優しいの」「また二人きりの居残り練習だわ」といった、極めて暗示的な言葉が添えられていた。
渡井伝治の手は激しく震え、猛然と顔を上げて鈴川メメを睨みつけた。
鈴川メメは悪事が露見したのを見て、もう怯える小鹿のような演技をするのをやめた。口角に得意...
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3. 第3章
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9. 第9章
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