第9章

国際フィギュアスケート・エリート大会の会場、スポットライトが真昼のように降り注ぐ。

これは私が渡井傳治のもとを去ってから、最初の戦いとなる。実況アナウンサーが私と村木羽矢の入場を告げると、客席からは疑念のどよめきが沸き起こった。

「五輪の枠を捨てて新人と組むなんて、正気か?」

「渡井傳治なしで、彼女に何ができるって言うんだ?」

待機エリアで、村木羽矢の野性味あふれる顔が珍しく強張っていた。

「友衣姉さん、準備はいい?」

私はフェンスのアクリル板に映る、冷たく研ぎ澄まされた自分の姿を一瞥した。かつてのような、人の顔色を窺うような従順さはもうない。

「これ以上ないくらいよ」...

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