第6章

カエル視点

「アリアが咳き血だ!」祖父が怒鳴りつける。「血蝕病だ! あいつは血蝕病に罹ってる! もう咳き血するところまで来てるんだ!」

 血蝕病。

 たった三文字。なのに、俺の世界は音を立てて崩れ落ちた。

「そ……そんな……ありえない……いつから……」

「一か月前に診断が出た!」祖父の咆哮が石壁を震わせる。「お前が十七回目に――あの子を殺そうとした、その頃だ!」

 俺は血に染まった布切れを両手で抱えたまま、頭の奥が激しく揺れ、視界がぐにゃりと歪んだ。

 胸元を押さえる彼女の仕草。ふっと血の気が引いた顔。咳き込みながら慌てて背を向ける後ろ姿……。

 全部、血蝕病のせいだった。

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