第5章

佑梨の視点

 月曜の朝は、いつもと何かが違った。

 ギャラリーに足を踏み入れたとき、その変化に気づいた。同僚たちは、私が通り過ぎた瞬間にぴたりと会話をやめる。その視線が私を追い、背後で再びひそひそ話が始まる。

「聞いた? 彼女と義理のお父さんが……」

「うわ、気持ち悪い……」

「彼氏に捨てられたのも当然ね」

 聞こえないふりをした。歩き続ける。顔を上げる。

 席に着くと、デスクの上に封筒が一つ置かれていた。杉本グループのレターヘッド。

 美術品買収契約の打ち切り。即時有効。

 理由は、戦略的調整、と手紙には書かれている。

 本当の理由なんてわかっている。俊介が私を守るため...

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