第7章

アイリス視点

 ヨーロッパの午後は、いつも気だるげな空気を纏っている。

 ベッドのヘッドボードに寄りかかり、窓の外に広がる海を眺める。三週間が経った。傷口はもう膿んでいないし、呼吸のたびに肋骨に走っていたあの刺すような痛みも和らいでいる。

 ドアをノックする音がして、キャラムがトレイを手に入ってきた。

 鼻をくすぐる良い香り。トレイに乗っているのはリゾットと、絶妙な焼き加減のサーモンだ。彼の料理の腕が立つことは知っているが、自らキッチンに立つ姿を見るたびに、いまだに少しばかり面食らってしまう。

 スターリング一族のトップ。裏社会でその名を聞けば誰もが震え上がるような男が、今はまるで...

ログインして続きを読む