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第十七章 - 疑問

私は車の後部座席で、アルファ・ルーカスの隣に静かに座っていた。運転しているのは、私の部屋の非常階段にいたあの大柄な狼だ。昨日リー氏の店を出た時に見かけたのと同じ狼。指を怪我させたこと、あまり怒っていないといいけれど。私は不安な気持ちで窓の外を見つめ、車が北へ向かい、サファイア・ムーンへ戻るのを待っていたが、車がそちらへ向かうことはなかった。

車はマンハッタン・グランド・ホテルの正面玄関に横付けされた。アルファ・ルーカスがドアを開けて私を降ろし、エレベーターへとエスコートする。もう一人の狼は、私のバックパックと鞄を持って、エレベーターの中で私たちの横に静かに立っていた。バ...

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