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第三十四章――手配

「そうか……アテナ、お前が俺たちの探していた裏切り者だったとはな」

ディーゼルが低く唸った。

「おいおい、弟よ。恋と戦争は手段を選ばず、って言うだろう」レンジャーはそう言うと、私の方を見た。「やあ、俺のかわいい番(つがい)!」

「俺の番に気安く話しかけるんじゃねえ!」ディーゼルが咆哮した。「それと、そのクソ忌々しいズボンを上げろ! あの椅子はもう焼却処分するしかねえな」

暖炉の残り火が消えかかっているのが目に入った。「私がやるわ」

私が手を振ると、椅子全体が一瞬にして炎に包まれた。

「なんだと!?」レンジャーが飛び退く。

革張りの椅子が黒焦げになったところ...

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