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第四章 ― 遠吠え

何を待ち構えていたのか自分でも定かではないが、突然、怪物でも部屋に押し入ってくるのではないかという恐怖に襲われた。

私は再び起き上がり、ドアの鍵が掛かっていることを確認してから、ペタペタと窓際へ歩み寄った。ここは六階だ。誰かがよじ登ってくることなどあり得ない。私はベッドに横たわり、枕をきつく抱きしめた。私には狼の聴覚があるというのに、なぜこれほど被害妄想に陥っているのだろう。

エロスが言ったことを頭の中で反芻し、あの唸り声がクラブを切り裂いた瞬間に背筋を走った悪寒を思い出した。彼は私に気づいたのだろうか、それとも私の力を感じ取ったのか? 自分の縄張りにアルファの血を引...

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