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第六章 ― 番(つがい)

部屋は暗く、石造りの暖炉でパチパチとはぜる温かな火だけが明かりだった。私は本物のベッドで、最高に寝心地の良い枕と毛布に包まれて眠っていた。まともなベッドで寝るなんて何年ぶりだろう。掛け布団をめくって自分の体を見下ろすと、私は大きなサイズのシャツを着ていた。

天井は高く、丸太で組まれている。どうやらログハウスの中にいるようだ。そこは暖炉のそばに特大の椅子が二脚置かれた広いワンルームの小屋で、小さなキッチンと、おそらくバスルームへと続くドアがあった。

室内には美味しそうな香りが漂っていた。まるで焼きたてのアップルパイのような匂いだ。私はその香りを深く吸い込んだ。シナ...

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