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第三十八章 - 救出

「頼むわよ、アレック! 一体何をそんなに手こずっているの?」

私は苛立ちを隠せず、行ったり来たりを繰り返した。ディミトリと私は、森の中で一時間近くも待機していたのだ。

「慎重を期すべき状況だ。俺たちがここにいることを、ましてや二人きりであることを、彼女に悟られて敵の群れに通報されるわけにはいかない」

「川の方へ降りて、捕まっていないか確認すべきじゃない?」

「捕まってはいない」ディミトリは断言した。

「どうして言い切れるの?」

「すぐ後ろにいるからだ」

ディミトリが指差す先を振り返ると、アレックが美しい曲線美を持つ女性の腰に手を回して歩いてくるところだった...

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