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第六章 ― 追跡

森の奥へ進むにつれ、松の香りが私を包み込んだ。私は小さな足が動く限りの速さで走り続けた。胸の中で心臓が激しく打ち鳴らされ、一マイル以内にいる狼なら誰でも聞こえてしまうのではないかと思うほどだった。

落ちていた枝につまずき転んだが、すぐに起き上がって再び走り出した。自分がどこへ向かっているのか、どの方角へ行くべきかもわからなかった。背後の山々にはまだ遠吠えが木霊しており、とにかく前へ進み続けなければならないことだけは分かっていた。

人間を探すべきだろうか? 近隣の群れに助けを求めるべきか? 納屋にいたあの雌狼は私の名前を知っていた。彼女はブルー・マウンテン・パックの者だっ...

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