96

第九章 - 喪失

第五章 - ルーカス視点

俺は川の水を泡状に引き上げ、能力を使って落下の衝撃を和らげた。激しく渦巻く急流であっても、水の中に身を委ねていると不思議と心が落ち着く。十四歳の時、俺は水を操る能力に目覚めた。父はよく俺を「リトル・アクアマン」と呼んでいたものだ。エレメンタル・ウルフは月の女神の末裔であり、元素のギフトを授かっている。

通常、ギフトは狼として成熟し変身が可能になる十八歳で発現する。だが、俺は普通の狼ではない。二つの元素を持つ唯一の狼として知られた、レイヴン・ラルーの息子なのだ。母は祖母ルーシーから火を、祖父ディーゼルから水をそれぞれ受け継いでいる。そ...

ログインして続きを読む