第6章

結衣視点

 出発する前、私は母に電話をかけた。

「出張が決まったの。地方のプロジェクトで……これがうまくいけば、正社員になれるかもしれないって」

 母はとても喜んでいた。「お仕事、頑張ってね。こっちのことは心配しないで。妹も順調に回復しているから」

 私は手元に残っていたお金をすべて母の口座に振り込んだ。

「ずっと前から貯めていたお金なの。これで、あの子に何か美味しいものでも買ってあげて」

 電話を切った後、私は自分の手元にある現金を見つめた。ほんの数千円。それから、私は長距離バスに乗り込んだ。

 丸一日と一夜を過ごし、私は小さな町でバスを降りた。

 見渡す限りの山々。澄んだ...

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