第5章

 沙苗がハイヒールをコツコツ鳴らしながら私の目の前まで来た。隠しきれない得意げな光が、その視線にべったり張りついている。

「舞子、久しぶり。USCに来たって聞いたけど……どうして会場の入口で受付なんかやってるの?」

 わざとらしく手首を上げ、Cartierのダイヤびっしりのブレスレットを見せつける。「剣介はね、今日は特別招待の青年代表として参加してるの。そんなにお金に困ってるなら言えばいいじゃない。剣介が指の間からこぼす程度でも、あなたの生活費くらい余裕でしょ」

 視線を横に滑らせる。沙苗の隣には腹の出た中年男。東京で名の知れた成金の建材屋――剣介が最近、スポンサーを引っ張るために必死...

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