第7章
「――俺……」
弘武は言葉を失い、全身から勢いがすっと抜け落ちた。
震える声に、絶望が滲む。
「愛してる。それじゃ……資格、足りないのか?」
周囲の学生たちが、ひそひそとフランス語で噂し合っている。これ以上、他人の暇つぶしの話題になりたくなかった。
「来て」
私は冷たく言い放ち、踵を返して校舎の端にある小さな林へ歩き出す。
弘武はすぐに追ってきた。
人目のない場所まで来て、私は足を止めた。弘武の目は真っ赤で、やつれきっている。剃り残した髭、だらしなく開いたシャツの襟元、乱雑に留められたトレンチコートのボタン。
「彩未」
弘武が一歩踏み込み、私の手を掴む。痛い...
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