第6章

誠治のIT企業は、C市のダウンタウンにある高層ビルの32階にオフィスを構えていた。壁一面のガラス窓からは街全体が一望できる。私はモダンな会議室に座り、テーブルに広げられた契約書を見つめながら、少しだけ早くなる鼓動を感じていた。

「遥さん、この契約の報酬は、君が普段手がけているウェディング案件の10倍だ」

誠治は眼鏡の位置を直し、真剣な眼差しで私を見た。

「君には、うちの年次技術会議の企画を頼みたい。参加者は500名。市内の投資家や海外のパートナーも招く大規模なイベントだ」

私は努めて冷静さを保とうとしたが、内心ではすでに祝杯をあげていた。金額が10倍だって! これ一本で、ウェデ...

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