第6章

【瑠理香視点】

 空港ターミナルビルにある閑静なカフェ。席に着いてひと息つく間もなく、両親が足早に入ってくるのが見えた。

 二人は私の向かい側に腰を下ろすなり、単刀直入に詰問し始めた。

「雪崩の時、お前はいったい何を考えていたんだ」

 父親が声を押し殺して言う。

「あんな生死の境をさまようような状況で、よりによって敬明くんに登美子くんを先に助けさせるなどと。もしお前の身に何かあれば、我が家と村木家との事業提携がどうなるか、分かっているのか」

 母親はさらに容赦なかった。

「敬明さんの話によると、あなたは今、別の男性と親しくしているそうじゃないの。瑠理香、正気なの? うちと村木家...

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