第146章

「美咲、それじゃダメよ」

川崎のお母さんは、娘と佐藤和也の仲はもう固いものだと思っていた。佐藤和也が高橋桜という女性と離婚さえすれば、あとは娘が晴れて佐藤夫人になるのを待つだけだと。

ところが、この二人は何もしていなかったという。

もし佐藤和也が本当に娘を好きなら、これだけ長く付き合っていて、どうして一度も触れ合うことがないのだろう?

「ママ、私だってダメだってわかってるわ。でも、私から積極的になるわけにはいかないの。そんなことしたら、和也は私のこと、どう思うかしら?」

川崎のお母さんはこれを聞いて、すぐに娘に知恵を授けた。

「誰が積極的になれって言ったの?誘惑すれば...

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