第183章

数秒後、佐藤和也は不意に視線を落とした。

だが、目の前にはもうあの子供の姿はない。礼を言うなりトイレへ駆け込んでいったのだ。今頃は個室の中だろう。

佐藤和也は薄い唇をきつく結び、その場に立ち尽くしたまま微かに眉をひそめた。

電話越しの声など、もはや耳に届いていない。

気のせいか?

それとも、あの二人の子供がしばらく配信を休むと言ったせいで、無意識のうちに気に病んでいたのだろうか。だからこそ、こんなタイミングで里見という少年の声が聞こえたのか。

「佐藤社長。今回の提携についてですが、実は別案も用意しておりまして。よろしければ後日改めてお時間を……」

「今、何か聞こえなかったか?」...

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