第201章

雨はますます激しさを増し、廊下の半分が跳ね返りでしっとり濡れていた。

高橋桜は首元のマフラーをきゅっと引き直す。

まさか国内でも、こんなに冷えるなんて。

立ち止まった途端、意識がふっと遠のいた。今夜、耳に刺さったあの「佐藤さん」という呼びかけが、頭の奥で反響する。

確かに、以前と同じだ。あの姓を聞いたところで、心が波立つことはもうない。

けれど――今夜の「佐藤さん」は、かつて仕事で出会った「佐藤さん」とは違う。

ここは国内、江城。この姓で、さらりと6000万を出せて、しかも招かれて来るような人間は……一人しかいない。

そうか……。

顔を合わせていない時間は、もう五年。

高橋...

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