第205章

 二人がどれだけ苦労したか分からない。ようやく佐藤和也をホテルの部屋まで運び込み、ベッドへ放り投げた。

 高橋桜はその場で立ち尽くし、肩で息をする。ふと顔を上げ、雨宮麻里奈を横目で見た。

 雨宮麻里奈はすぐに意図を察する。

「桜、私……」

「ダメ」

 桜は即座に言葉を断ち切った。

「行くよ。帰らないと。ここにいても、あの人は大丈夫」

「でも……酔っぱらってるよ? ホテルに一人で置いて平気かな。何かあったらどうするの?」

「だから何。まさか、残って付き添うつもりとか言わないよね」

 雨宮麻里奈は気まずそうに笑った。

「違う違う。そうじゃなくて……スマホで友だちに電話してあげ...

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