第206章

温かいコートが、ふわりと一瞬で高橋桜の肩に掛けられた。そこには、彼の体温がそのまま残っている。

黒田白の体温は、彼女よりずっと高い。

熱がじわっと押し寄せ、夜の冷たい風さえ、さっきほど刺さってこなかった。

高橋桜は彼に笑いかける。

「ありがとう」

黒田白は、呆れたようでいて甘い眼差しを向けた。

「こんな寒いのに、外に出るならもう少し着込め。自分が冷えやすいって、わかってるだろ」

高橋桜が返事をするより先に、隣の雨宮麻里奈が割って入る。

「もう、黒田白。桜のこと責めないでよ。薄着じゃなきゃ、あなたが格好つける出番ないでしょ?」

「はいはい」高橋桜が二人の言葉を遮った。「外、寒...

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