第207章

高橋桜の胸は、小さな子のぬくもりでいっぱいになった。

彼女は手を伸ばして高橋里見の頭をくしゃりと撫で、やわらかな声で言う。

「ママ、もう帰ってきたよ。安心して寝ていいからね」

腕の中の里見がぱちぱちと瞬きをする。

「里見、今夜はお母さんと一緒に寝てもいい?」

高橋桜は大きなベッドをちらりと見た。心の中ではもう頷いているのに、口ではつい、息子をからかいたくなる。

「でも、里見はもう五歳でしょ。そろそろ一人で寝られないと」

その言葉に、ちいさな顔にふっと落胆が走る。断られたと思ったのだろう。少ししてから視線を落とし、行儀よくこくりと頷いた。

「……わかった、ママ。里見、一人で寝る...

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