第210章

雨宮麻里奈は番号までしっかり打ち込んだのに、相手は「俺のアシスタントが連絡する」とだけ言い残し、背を向けてさっさと行ってしまった。さすがに焦りが胸を突く。

だから反射的に、追いかけた。

佐藤和也の背中を追ってエレベーター前まで来ると、麻里奈は息を整える間もなく口を開く。

「待ってください。連絡先がほしいって言ったのは、お礼がほしいって意味じゃなくて……わ、私、ただお友だちになりたくて。連絡先、教えてもらえませんか?」

佐藤和也は大股で歩き、エレベーターの扉の前で止まった。無表情のまま、そこに立つ。

雨宮麻里奈は下唇を噛み、迷いの滲む顔で彼を見上げた。

「お願い、お願いです。どうし...

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