第212章

「桜?」

雨宮麻里奈は部屋中をほとんどひっくり返す勢いで探したが、高橋桜の姿はどこにもなかった。

「いないの……?」

仕方なくリビングへ戻ると、佐藤和也が立ったまま室内を見回している。麻里奈は気まずそうに言った。

「すみません、佐藤さん。友だち、家にいないみたいで……出かけたのかもしれません」

そう言いながら、慌てて別の話題にすり替える。

「よかったら、先に座ってください。私、電話して聞いてみますね」

「いい」

断られると思っていたのに、次の瞬間には佐藤和也はソファに腰を下ろしていた。時間はいくらでもある、ゆっくり待つ――そんな顔で。

雨宮麻里奈はすぐに外のバルコニーへ出て...

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