第213章

高橋桜は、どこかやりきれない気持ちになった。

いつもそうだ。彼が彼女に何かを渡そうとして、彼女が受け取らないと決めた瞬間――黒田白は一歩引くふりをして、そのままそれを自分の娘に回してしまう。

そして、高橋小鳥はというと……。

ぱちぱちと大きな瞳を瞬かせ、まるで罪悪感など欠片もない顔で鍵を受け取る。おまけに背伸びまでして、黒田白の頬にちゅっと軽いキスを落とした。

「ありがとう、黒田白おじさん」

高橋桜はそれを見て、やっぱりね、とでも言いたげな表情になる。

小鳥の性格は、高橋里見とはまるで違う。人の好意に対して基本的に受け取るし、しかも彼女なりの理屈まで持っている。

以前、高橋桜が...

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