第4章
芹奈視点
「翔一さん、腕の具合はどう? お医者様はあと数週間で完治するっておっしゃってたけれど」
慈善舞踏会の会場で、私は少し離れた場所にいる明良に視線を向けた。あれから一ヶ月が経ち、彼の左腕のギプスは外れ、軽量のサポーターに変わっていた。だが、その姿には隠しきれない疲労が滲み、目の下には濃い隈(くま)が浮かんでいる。
『いい様ね、森崎明良。骨折の痛み、アレルギーの苦しみ、そして偽りの身分を演じ続ける精神的重圧……それらすべてがあなたを蝕んでいる。たった一ヶ月で、もうそんなボロボロの姿になるなんて』
「気にかけてくれてありがとう、だいぶ良くなったよ」明良は力なく微笑んだ。「...
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