第6章

芹奈視点

「おめでとうございます、森崎様。検査の結果、妊娠されています。現在、およそ6週目ですね」

医師の優しい声が診察室に響いたが、私にとってその言葉は死刑宣告のように聞こえた。

私は診察台の上でこわばったまま、鉛のように重く感じる検査報告書を握りしめた。6週目――最も重要な、ギリギリのタイミングだ。

(この子は産めない。絶対に、だめ)

「森崎様? 大丈夫ですか?」医師が心配そうに私を覗き込んだ。「顔色が優れませんが」

「大丈夫です」私は努めて冷静さを保った。「先生、もし中絶するとしたら、どのような手続きが必要ですか?」

医師は驚いた様子を見せた。「本当によろ...

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