第100章

彼の微動だにしない身体をぐいぐい押しながら、林田知音は必死に言った。

「ほんと、冗談じゃないの。これ以上は……誰だって無理だよ」

見上げた先で、さっきまでの余裕を消し飛ばしたみたいに顔を曇らせた男がいる。欲求不満を隠しもしない表情が、逆に気まずい。

「……ほんとにダメ?」

「わ、私……今夜はここで一緒に寝る。明日、新幹線駅まで送るから。私、二日くらいしてから川市に戻る。それで……いい?」

「……」

「はいはい、落ち着いて。機嫌直してよ。出前でも頼む? 私、先にシャワー浴びてくる。さっき引っ張られて走ったせいで汗だく」

言い訳を見つけて、彼の腕をそっと外し、起き上がろうとした――...

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