第101章

林田知音は、端正な顔立ちの日野成謙を見つめながら、現実味のない感覚に包まれていた。同時に、運命というものの悪戯めいた巡り合わせに、思わず息をつく。

若い頃、目黒雲月に抱いた憧れのせいで、彼女は五年をまるごと間違えて捧げてしまった。いまはもう傷だらけの自分なのに――それでも、日野成謙に出会ってしまった。

「切符、変更しよっか?」

不意に投げられた甘い誘いに、林田知音は反応が遅れた。

「……え?」

大きな手が、腰の柔らかな肉をくすぐるように揉む。

「そんな目で見られたら、こっちがもたない。新幹線、変更してさ。もう一回、寝直さない?」

笑みを含んだ視線を真正面から受けて、林田知音は平...

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