第102章

三上乃は自立心が強く、芯の折れない女だった。だから当時、林田知音が恋に目がくらんだときには、娘に腹を立てたこともある。けれど同時に、三上乃はずっと信じてもいた――人生は誰のものでもなく、自分の足で歩き、自分で選ぶものだと。

とはいえ、娘の暮らしをどうでもいいと思っているわけじゃない。ただ、いつか林田知音がつまずいたとき、振り返れば「母はずっとここにいる」と分かるようにしておきたかった。

彼女は林田知音の、背中を支える存在だ。

そして知音も、それを分かっている。

「さて。目黒雲月の胸くそ話は置いといて……日野家の若様のこと、話してみようか?」

知音がちょうど水を口に運んだところで、危...

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