第106章

林田知音はそう問われただけで胸の奥がむず痒くなった。日野成謙の身体から漂う、馴染みの匂いを吸い込んだ瞬間――不意に、心臓が跳ねる。

彼は俯いたかと思うと、彼女の唇を掴み取った。飢えきった狼みたいに、容赦なく貪る。林田知音は息が詰まり、喉がひゅっと鳴る。

ようやく一瞬だけ呼吸を許されたところで、彼女は慌てて言った。

「……お腹、空いてないの?」

「空いてる。けど、先にメインを食う」

そう言いながら、日野成謙の大きな手が彼女の身体を探るように滑っていく。コートが音もなく床に落ち、続けてセーターもするりと脱がされる。

手際の良さに、林田知音は思わず息をのむ。気づけば身に残っているのは下...

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