第112章

目黒安は知らなかったのだろう。ぱちりと瞬きをして、首をかしげる。

「え、あの有名なカップル向けのレストラン?」

林田知音も目黒雲月も答えない。車内の空気が、ふっと重く沈んだ。

目黒安は、黙り込んだ目黒雲月を見て、次に後部座席でスマホをいじり続ける林田知音を見て、力なくシートに背中を預ける。

ここまでしても当人が気にしないなら、もうどうしようもないじゃない。

林田知音は俯いたまま、なんとなく画面をスクロールしていた。SNSも好きじゃないし、チックトックも見ない。だから、指だけが意味もなく動いている感じになる。

そこへ突然、日野成謙のLINEが跳ねた。

「中環のほうで大事故。モール...

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