第114章

林田知音は大きく息を吸い込み、「じゃあ、結局どうしたいの?」と吐き出した。

日野成謙も、自分に分がないのはわかっている。彼女の言葉に乗って、この場を丸く収めようとした――その瞬間、スマホの着信音が鳴った。画面を一瞥して通話に出ると、みるみる表情が引き締まる。林田知音から手を離し、立ち上がった。

「救急のほうでオペが入った。病院に戻る」

林田知音が「……そっか」と短く返したころには、日野成謙はもう上着をひっつかんで外へ出ていた。玄関で一度だけ足を止め、何か言いかけたように見えたが――結局、何も言わずに去っていく。

静まり返ったリビング。林田知音はソファに座ったまま、隣の紙袋を見た。中身...

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