第119章

「何の用?」

林田知音は寝間着のまま廊下に出た。夜の共用廊下はまだ冷える。それでも野呂雨芽が何をしに来たのか見当もつかず、部屋には目黒らいがいる。だからこそ、外へ出てから素早く扉を閉めた。

野呂雨芽が顔を上げる。瞳の奥にある憎しみは、林田知音にもはっきり見えた。けれど口からこぼれたのは、憎悪ではなく――懇願だった。

「林田知音……お願い……」

「何?」

「お願い、雲月にもう関わらないで……うぅ、お願い……私のこと恨んでるのは分かってる。でも、こんなやり方で仕返ししないで……うぅ……」

突然、野呂雨芽は声を上げて泣き崩れた。泣き声と一緒に声量まで跳ね上がり、林田知音は完全に不意を突...

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