第122章

林田知音の怒鳴り声に、五味未敏は反射的に通話を切ってしまった。

切断された画面を見つめたまま、知音はスマホを握り締める。――もう何年も。林田稲のことは「気にしない」と決めて、父親がいるという事実ごと見ないふりをしてきた。

けれど今、五味未敏があの人の隣で眠っているのだと思うだけで、押し込めていた恨みや憎しみが、どろりと胸の底から湧き上がってくる。

焦っているのに、身体が言うことをきかない。

「お父さん……どうして……どうして……うぅ……」

知音は声を殺して泣いた。

そのとき、スマホがぶるっと震える。表示された番号を見て、知音は乱暴に涙を拭い、通話を取った。声は氷みたいに冷たかった...

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