第128章

 彼は着信表示に目を落としてから通話を取った。日野新義の表情が、ふっと緩む。

「わかった。野呂家の人間と会えるよう、段取りを組んでくれ」

 林田稲は背もたれに身を預ける。

「病院のほう、動きがあったの?」

 日野新義はうなずき、思わず小さく息を吐いた。

「あの子、運が強いな。ひとまず峠は越えた。ただ、まだ意識は戻ってない。いつ目を覚ますかも分からん。だが生きてさえいれば、話はやりやすい。面倒が減る」

「野呂家……」

 林田稲が呟く。そこに滲む感情は、簡単には味が読めない。

「腹に据えかねるのは分かる。だが結局、どっちも若い子だ。野呂家の娘も、勢いでやったんだろう。俺たち年寄り...

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