第130章

林田知音は木下実初をちらりと見ただけで、何も言わずにそのまま歩き続けた。

その頃には木下実初のほうも、さすがに腹が立ってきていた。日野成謙、いったい何してんのよ。あの子、誰なのよ?!

手、つないだじゃん。すぐ離したとはいえ……。

横断歩道を渡るころには、林田知音の機嫌はどん底を突き抜けて、陰りきっていた。隣を歩く木下実初は、息をするのも怖いくらいだ。

前は、知音が黙るとこんなに恐ろしいなんて思わなかった。

……なのに。

木下実初は、ぷんすかしている今の林田知音を横目に見て、なぜか口元がふっと緩んだ。

これで「好きじゃない」って言うなら、じゃあ「好き」って何なんだろう。ともちゃん...

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