第131章

ダメだ。林田知音は、日野成謙と林田夢がいったい何を話しているのか、どうしても耳で確かめなきゃ気が済まなかった。

そこで彼女は、カウンターの周りをぐるりと一周。日野成謙の背後に回り込み、背の高いソファチェアで自分の頭をすっぽり隠す位置に滑り込んだ。

その様子を木下実初は、まるで年に一度の大芝居でも観ているみたいに、うっかり見入ってしまう。

従弟の立場などお構いなし。純粋に、林田知音がこの先どう動くのかが気になって仕方なかったのだ。

「川市には、ずっといるつもり? おばあちゃんから聞いたけど、もう医者は続けないんだって?」

林田夢の声は、細くて柔らかい。

記憶の中の彼女とは少し違う。...

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