第147章

「……あ、じゃあ、ともちゃん……」

林田知音はべつに迷っていたわけじゃない。タクシーで帰ればいいだけだ。

そう言いかけたところで、斉藤雛が口を挟んだ。

「ともちゃん、あなたと息子さん、私の彼氏の車に乗りなよ。どうせ帰り道一緒だし」

「ありがと。でもいい」

「なにそれ。遠慮しなくていいじゃん。子ども抱えてるのに。恥ずかしがってるの? それとも……私に嫉妬?」

斉藤雛は口元を引きつらせるように笑った。

クラスメイトはほとんど帰ってしまっている。今さら取り繕った挨拶なんて、する必要もない。

「彼氏が迎えに来たって自慢したいだけでしょ」

斉藤雛の口角が一瞬だけ固まり、それでもすぐ笑...

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