第150章

彼らが団地に戻ったのは、もう23時近かった。

林田知音は目黒らいを抱いたまま車に乗り込んで間もなく、ふたりそろって眠りに落ちた。車が停まっても、目を覚ます気配はない。

目黒らいは子どもだ。眠たがりなのも当然として――問題は知音のほうだ。隣に「下心あり」と言わんばかりの男が座っているのに、よく眠れるものだと感心する。

「成謙さん、うちは――」

「しっ」

斉藤雛が声を出した瞬間、日野成謙は振り向いて口元に指を当てた。さらに小さく手を振り、降りろと合図する。

「ありが――」

何か言いかけたが、成謙は眉をきゅっと寄せ、露骨に苛立った目で雛を見た。

斉藤雛は車を降りた。

少し歩いてか...

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