第158章

日野の大旦那様は、かつて軍にいた古参の幹部だった。八十に手が届く歳になっても、血の気の強さは変わらない。

――が。

孫の住むマンションの玄関前に立った今、珍しく足が止まっていた。ちょうど扉を開けて出かけようとしていた林田知音と鉢合わせた瞬間など、さすがに自分の唐突さを悔いたほどだ。

それでも、家で成謙のことで泣き腫らし、目が潰れそうになっている老妻の顔が浮かぶ。どれだけ面倒でも、この一度は自分の足で来るしかない。

林田知音と日野成謙が川市に戻ってきたばかりだというのに、日野家の祖父がこんなに早く押しかけてくるとは、知音も思っていなかった。

「ぼさっと突っ立ってないで、入れてくれない...

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