第16章

日野成謙は朝食をテーブルに置くと、「牛乳とコーヒー、どっちにする?」と尋ねた。

「コーヒーで」

 林田知音も遠慮はしなかった。日野成謙は頷き、「先に顔を洗ってきな」と言う。

「うん」

 林田知音は軽く身支度を整え、インナーだけ着替えた。上には昨日のシャツをそのまま羽織り、食卓へ向かって腰を下ろす。その間、日野成謙はサイドボードの脇に立ち、コーヒーマシンをいじっていた。

「その豆、もしかして今から挽くの?」

 半ば疑うように聞くと、日野成謙は「じゃなきゃ何?」とさらりと返す。

「いや、コーヒー一杯淹れるのに、豆からやるとは思わなくて。てっきりインスタントとか、フリーズドライをお湯...

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